起訴後の流れ
はじめに
起訴後は公判の準備を進めることになります。罪を認めている場合は、ご家族など今後の監督が期待できる方に情状証人として出廷してもらうための打ち合わせをします。罪を争う場合は、起訴状や検察官から提出される証拠の精査を行い、被告人に有利な証拠があれば提出を検討します。検察官の提出証拠書証に同意をすると、証人に対して尋問をする機会が失われてしまいます。誰にどのような質問をするのかによって、裁判官の心証は大きく変わりますから、慎重に公判に向けた準備を行う必要があります。また、弁護士側から被告人に有利な証拠を提出できないかの検討も行います。
公判の流れ
1 冒頭手続
裁判官が入廷すると、起立・礼をし、人定質問という本人確認の手続が行われます。具体的には、氏名、生年月日、職業、住所、本籍を聞かれます。
次に、検察官が起訴状を朗読します。
その後、裁判官から、「言いたくないことは言わなくてもいいし、言いたいことは話してもよい。ただし、この法廷で話したことは有利にも不利にもなります。」と黙秘権の内容を説明されます。
冒頭手続の最後に起訴状の内容が間違いないかどうかについて確認されます(罪状認否)。罪を認める場合には、「間違いありません。」と答え、無罪を主張する場合は「私は何もしていません」等答えます。その後、どのような理由で無罪を主張するのかについて、弁護人からも裁判官に意見を言う機会がありますので、この時点では、被告人から具体的な理由を話す必要はありません。被告人が答えた後に弁護人が意見を述べます。
2 証拠調手続
まず初めに検察官が、このこの刑事裁判において、証拠によって立証しようとする事実の概要を説明します。この説明を冒頭陳述といいます。被告人も冒頭陳述を行うことができますが、公判整理手続(事前に争点について確認する手続)を行った場合は被告人側は冒頭陳述を行うことになります。
刑事裁判においては、検察官が事実を証明する立証責任を負っているので、まずは検察官側が証拠調請求を行います。弁護人は、検察官が請求している証拠について、証拠とすることに同意する、同意しない等の意見を述べます。同意された証拠についてのみ取調べることになります。不同意のものについては、後日、その書面の作成者を証人として裁判所に呼び出し、証言させることになります。
検察官請求にかかる証拠の取調べが終わった後は、弁護人側の証拠取調手続に移ります。弁護人側も検察側と概ね同じ流れとなります。
書面による証拠の取調べを終えた後、被告人の家族等の情状証人に対する証人尋問や被告人質問が行われます。通常は、まず弁護人が質問をした後、検察官が反対尋問を行い、(必要に応じて弁護人が再主尋問)、最後に裁判官が補充尋問を行います。
3 論告・弁論
それぞれの請求した証拠の取調べが終わった後は、検察官と弁護人が事件についてどのような判決を下すべきかについて意見を陳述します。検察官と弁護人が意見陳述を終えた後、裁判所が「最後に何か言いたいことはありますか?」と、被告人に意見を言う機会を与えてくれます。
罪を認めている場合は1回で結審することが多いです。他方、事件が複雑で1回では裁判が終わらない場合、次の裁判の期日までは1ヶ月~2か月ほど空くので、その間に次回の裁判のための準備をすることになります。
4 判決
全ての審理を終えた後、裁判官は当事者の主張立証を踏まえ、被告人に対して判決を宣告することになります。
もし、保釈中の被告人に実刑判決が宣告された場合、その日の内に再び身柄を拘束されることになります。どのような判決内容であっても準備ができるように、弁護人と打合せをしておく必要があります。
宣告された判決に不服を申し立てたい場合には、14日以内に控訴することができます。
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